ランダムにいろいろ書いてきましたが、多少なりとも理解していただけたでしょうか。
結露は自然作用です。そのため自然を知らなければ問題の本質を掴むことが出来ません。単に飽和水蒸気曲線なんていう図表データだけで予見できるものでもありません。
結露は暖かい空気が、冷たい物に触れることで起こる
結露は、水分を含んだ暖かい空気が、冷たく冷やされた『もの』にふれることで起こります。そのため、湿気を排出することが大事になってきます。
そのために生まれたのが外壁通気工法や防湿シートです。
さらに、材料を冷たくさせないために断熱材や外断熱という工法も生まれました。
工事の現実
隙間だらけだとそこから湿気が入ってきます。でも、いつもいつもそんなに完璧な工事など、残念ですが出来ていません。
それでも家々が結露だらけにならないのはなぜでしょうか。
この章のもっとも大事なポイントはここからです。
一つに止まらない自然環境-均衡を保つ自然現象
理屈では飽和水蒸気曲線の条件が整えば結露は発生するのですが、温度や湿度という自然環境は、いつまでもいつまで一定の条件を続けているわけではありません。つまり、一つの条件に止まらない自然環境が結露を防いでいるとも言えるのです。
周囲の温度に順応する材料
私たちはともすれば、身近な温度計や気象庁が発表する広い意味の温度に頼りがちです。でも調べてみると、身近な材料でさえ、周囲の温度に順応しようと、その表面温度は細かく違っているのです。断熱材の欠損で局所的に冷やされる部分があると、そこに内部結露が発生します。
クロスという防湿堤防
どんなに雑な工事をしていても、計算外のクロス(壁紙)が、実は大きな堤防となって、防湿工事のずさんさを補っている場合が非常に多いのです。
結露の本当の怖さ-気化熱
結露が起こることが怖いのではありません。結露が起こったあとその材料の温度がなかなか上がらず、結露が常態化してしまうことが一番怖いのです。
断熱欠損に気を配れ
そのためには、材料が局部的に冷えることになる『断熱欠損』を防ぐことが内部結露対策の基本中の基本です。どんなに防湿シートや気密シートの施工精度に気を配っても、断熱欠損があれば、その効果は半減してしまいます。(水蒸気を含んで空気が冷えた材料に触れにくくなるという効果だけは生きる)
注:これまでの説明はどちらかというと温暖地域に限定した説明です。寒冷地などでは気密化を含むもっとも本質的な対策が必要です。