都市部では、数戸単位の小さな分譲宅地が、建築条件付き宅地として売り出されています。そのほとんどが、位置指定道路という方法で道路をつくり、いわゆるミニ開発と呼ばれるものが乱立しています。
普通の宅地開発とミニ開発がどう違うのか。宅地を購入する人の立場ではなく、開発し、宅地を販売する業者の目から見てみましょう。
ミニ開発と普通の宅地開発の違い
下の図は、1,200m2程度の土地を、ミニ開発と、それとは別の方法での開発とを比較しています。
普通の開発(開発許可) | ミニ開発 | |
道路の幅 | 場合によっては6m程度の道路が役所から要求される場合もある。 | 4mの位置指定道路を造ればよい。 (行政によって幅は若干異なる) |
道路のつながり | 袋状の道路はだめ。 公道から公道につながっているのが条件。 | 袋小路でもよい。 |
道路の所有権 | 出来た道路は役所に寄付する。 | 個人所有のままでよい。 (私道負担○m2と書かれている) |
公共施設 | 規模によっては、計画敷地内にゴミ置き場などを作らなければならない。 | 無し |
申請から堪忍申請が出せるまでの期間 | 4~7ヶ月程度 | 1.5~2.5ヶ月程度 |
やってられないょ。
さっさと売っちまわないと経費ばかりかかってしまう。
こま切れにして、早く売ろうぜ。・・・と、考えているのかいないのか。。。
そんなことを考えている業者もまだまだいますょ。・・・
都市計画法では、500m2または、1,000m2以上の宅地開発をする場合は、行政と道路や下水道・公園の整備、ゴミ処理など都市生活上のいろいろな協議をおこない、その審査と工事があって初めて宅地としての使用が可能になります。その場合でも、新しく作る道路や公園、ゴミ置き場などは全て開発業者の負担となり、結果として宅地の費用にも跳ね返ってきます。
また、これらの協議や工事を完了してからの宅地分譲となるため、たとえ、1,000m2程度の宅地でも数カ月以上の日数が必要となってきます。もちろん、道路も業者が作って市などに移管されます。(無償譲渡)
このため、都市部では、500m2以下を私道(位置指定道)を作り、小さな宅地に分けて売ってしまいます。これが数戸単位の私道負担付きのミニ開発が出来る理由です。
開発業者の善悪-なぜ建築条件付きなのか。
宅地だけを売っては儲けが少ない。だから建物を含めた建築条件付き宅地として、建物を含めて販売しようとします。宅地だけより、建物ごとの方が利幅も大きくなります。
でも、宅地も建物も、それぞれの地域の相場金額があります。
いかに土地を安く仕入れるか。いかに建物の原価を安くするか。ここが、開発業者の腕の見せ所です。しかし、土地の仕入れ代金や建物の原価を安くするということは、経営努力とは別の次元の、欠陥宅地、欠陥工事を生む危険性を内在させています。
今や建物の10年保証は義務の時代です。しかし、その保証も、業者の良心が根本であることをお忘れなく。
開発をし、建物は下請けに丸投げ。そんな業者にはご用心を。