地震のものさし(尺度)

日本には今まで多くの地震が襲ってきました。ところが地震にはそれぞれ特徴があり、1964年の新潟地震では液状化被害が建物を襲いました。2010年の阪神大震災では、都市化が進んでから初めてといっていいぐらいの大都市直下地震です。東日本大震災では津波被害の甚大さと同時に長い揺れの地震が阪神大震災とは別の被害を大きくしました。
地震は、単に『震度』や『マグニチュード』という『揺れの強さ』や『地震の強さ』だけでなくで表される単純な尺度以外に、いろいろな尺度が用いられているようです。その尺度(動き)がいろいろな形の地震被害を起こしているのです。

 

  • 震度、マグニチュード-揺れの強さ、地震の強さ

震度はもっとも簡単な尺度ですね。震度1から7まで。昔は震度を体感で決めていたそうですが、今では加速度や周期などの計測と計算式に基づいた「計測震度」が用いられているようです。(気象庁解説)
マグニチュードも地震の大きさを示すポピュラーな物差しですね。

  • 加速度(ガル)-揺れの加速度

揺れの速度が瞬間的にどれだけ上昇したか・・ということだそうですが、そう言われても、あまりピンとこない尺度です。専門家用の尺度です。

  • 固有周期-揺れのリズム

その建物の高さ(m)の0.02倍が、その建物の固有周期(秒)で、地震の周期と建物の周期が一致すると共振といってより強い揺れとなるそうです。建物にとって怖い状態です。
そして、高層ビルでは、今回の東日本大震災でも東京の高層ビルは大変よく揺れ、遠く離れた関西の高層ビルでも揺れたそうです。
ちなみに、高さ100m、30数階建ての高層ビルでは、2秒が固有周期と計算されますから、ゆっくりした周期の長周期地震が怖いといわれるゆえんなのでしょう。

  • 応答スペクトル

東日本大震災が震度7の大地震であったのに、阪神大震災よりも建物被害(特に木造系)が少なかったのは、木造住宅が反応しやすい1~2秒間の応答スペクトルが少なかったためとも言われています。(東大地震研究所)
なるほど、そういうものなんですか、としか答えられない話ですが、そういうものらしいです。

  • 揺れの長さ

反対に同じ震度ながら、地震の揺れが短かった阪神大震災では液状化被害が少なく、揺れが長かった東日本大震災では、液状化被害が拡大したとも言われています。 これは理解しやすい話ですね。

Sponsored Link

地震予知は出来ても、せいぜい地震の起きるエリアと大きさだけ

上のように地震の特徴には、いろいろな要素や尺度があるようです。専門家が計算する数式や科学式には、一定の根拠があるのは勿論です。
そして、それによって過去の大きな地震と比較検討をすることも出来ます。あるいは大きな建物の耐震設計に寄与していることも事実です。
でも、いくら科学が発達しようが、いくら難しい計算が出来ようが、次に来る地震がどんなタイプの地震なのかなんて、誰も想像出来ません。
今、出来るのはせいぜい「マグニチュードと範囲の想定」でしかありません。どんな「加速度」で、どんな「周期」で、どんな「長さ」で、「応答スペクトル」はなんて逆立ちしてもわかりません。
地震が来る来るとわかっていてもせいぜい、その程度の予見能力しか持ち合わせていません。
注:とはいいつつ、今の耐震技術は、建物に大きな被害を及ぼさない一定のレベルまで達していると思いますから、そういう面の悲観論は考えすぎですよ。
(注:超高層ビルは私は一切分かりません)

4.耐力壁のバランス

注:超高層ビルは、日本の最先端の技術が結集されています。
しかし、地震にはまだまだ未知な部分が多く、ましてや、本格的な大地震あるいは長周期地震には一度も遭遇していません。そういう意味で、地震の洗礼を受けていないので、どんな「想定外」の被害が出るのか、でないのか、全く分からないと考えておいた方が自然に対して謙虚だと思います。科学者、設計者の著しい思い上がりと怠慢は、すでに福島原発事故で十分に経験しましたからね

広告