住宅地盤調査の限界

住宅を建てる際には、必ず地盤調査が行われる。
その費用は、わずか3~4万円程度ですが、その調査方法のほとんどは、「スウェーデン式サウンディング調査」が行われています。

しかし、この調査では、その土の持つ「地耐力」はわかっても、液状化するかどうかを判断できる「地質」が何であるかを知ることが出来ないと言う弱点を持っています。

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ボーリング調査(1カ所15万円以上から)

下の図は、ボーリング調査(1回15万円以上)とスウェーデン式調査の表ですが、上のボーリング調査では実に細かな地質の描写がされています。
それはなぜかというと、ボーリング調査では土そのものを全ての深さから取り出してサンプリングするために、土そのものを直接見ることが出来ます。
そのため、砂の割合やシルト(粘土のこと)の割合を直接観察することが出来るのです。
そして、常水面がどこなのかも、土を直接見られるために土の含水状態がつぶさに観察できます。

スウェーデン式サウンディング調査(1件3~4万円程度)

この方法は、砂質地盤か粘性土かという2つの区分しかできません。
上のボーリング調査の場所で行えば、全て「粘性土」で終わっているでしょうね。(注:同じ場所のデータではありません)

そうなる理由は、この方式では、単に直径2cm程度の細い棒を地面にぐるぐる差し込んでいき、土の強さを推定しているだけであって、土そのものを直接見ることが出来ません。棒の先端に付着してきた土から砂質地盤か粘性土を決めているにすぎないため、棒の先端にくっついてきた土が、2m先の土なのか、5m先の土なのかも判然としないのです。
常水面の測定も同様で、おおざっぱな位置を「推定」しているにすぎません。
注:最近の一部の調査機械では、別の装置である程度正確な水位を測れるものも出ているようです。

また、ボーリング調査を見ればわかるように、地質というものは実に細かに変化していることがわかりますね。全て、万年、億年の堆積のなす技です。

地盤調査でわからないのだから、土地の成り立ち(素性)を聞け!

結局、おおざっぱに結論をまとめれば、

  1. 住宅現場で使われているスウェーデン式調査では地質はわからない
  2. それなのに地質は非常に細かに変化している
    言い換えれば自然の堆積層は、必ずしも同じ地質の層が連続しているわけではない。
  3. しかし、液状化に影響を与える砂質地盤で、かつ、均質な地盤は、そのほとんどが埋立地
  4. 埋立地はなにも海岸だけでなく、沼地や池なども含まれる

だったら、地盤調査だけに頼らず、その土地のもともとの素性を聞け!! ということなのです。

そして、埋立地なら、液状化条件の一つを満たす砂地盤である、と考えましょう。

そのため、最近では土地の素性などから液状化が起こりにくい地域かどうかの判定を、行っている調査会社もあります。
いわば「簡易益自用か判定」ですね。

埋立地以外でも液状化は起こります。それは自然に堆積した比較的層の厚い砂質地盤が原因ですが、粒子が均質であるほど液状化が起こりやすく、粘土質と混ざっていたり、砕石が混入しているほど液状化は起こりにくいので、人工的な埋立地に比べればまだ液状化リスクは少ないと考えられるため、ここではその説明は省きます。 古い古い埋立地を含めて、この自然堆積による液状化危険地域は、各都市のハザードマップに載っています。
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