基準法の耐震性チェック

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耐震チェックの概要(建築基準法)

筋交いや構造用合板が耐震性を決定づけることまではわかりましたが、では、自分の建物の耐震性はどのようにチェックするのでしょうか。
実は耐震性のチェックは何も難しいものではありません。下のように建物の床面積から、その階に必要な耐力壁の量を計算し、実際に配置された筋交いなどの耐力壁の量を確認するだけで済んでしまう所用時間1時間程度の簡単なものです。 一度、挑戦してみましょう。
用意するのは、どこにでもある電卓とメモ用紙だけです。
ここでは、建築基準法で規定されている耐震性をチェックします。

 

  • MEMO 既に建築会社から、壁量計算書(へきりょうけいさんしょ)といった耐震性を検討した図面をもらっている場合もあると思いますが、本来は風圧力と比較して、地震力と風圧力のどちらか高い方の数値(必要壁量)をその建物に必要な耐力壁として計算します。
  • MEMO このページでは、耐震上もっとも重要な1階の耐震性のついてのみ説明しています。

STEP-1. 地震のための必要壁量(ひつようへきりょう)

これは簡単です。
1階、2階のそれぞれの床面積に下表の地震係数を掛ければ終わりです。 屋根材によって、係数が異なることだけを注意してください。床面積は、建築会社からもらった図面に仕上げ表や平面図などの図面のどこかに書かれていますね。

瓦屋根は、洋瓦、和瓦、セメント瓦などのことです。

  • 例題の建物に当てはめると下表のようになります。

(例題建物は右のタイトルからクリックしてください。)

あなたの建物の地震のための必要壁量を計算してみましょう。
屋根の材料が瓦か瓦以外かで係数が変わりますょ。
ご自身の建物の屋根の材料に応じて、下の表のいずれかを使って計算してみましょう。


MEMO ロフト、小屋裏収納がある場合の面積
2階の上にロフトや小屋裏収納がある場合は、ロフト(小屋裏収納)の床面積に0.66を乗じたものを2階の床面積に加算して計算してください。
たとえば、ロフト(小屋裏収納)が12m2設けられている場合は、この例題建物の2階の床面積は54.35m2ですが、その面積にロフト(小屋裏収納)の12m2を0.66倍したものを2階の床面積に加算します。
54.35+12×0.66=62.27が、2階の必要壁量を計算する床面積になります。

STEP-2. 存在壁量(そんざいへきりょう)の確認

前項のように耐力壁には、種類に応じて倍率が決まっていますね。
そして、実際の図面では、下の筋交いの記号や図面の凡例のように、図面には何らかの記号で耐力壁の位置と種類が書かれています。
図面に配置された存在壁量は、X方向、Y方向それぞれに配置された耐力壁の倍率x耐力壁の長さ(cm)の合計を計算します。

MEMO X方向、Y方向って何?

X方向、Y方向は一般的には平面図の水平方向がX方向、垂直方向をY方向とします。

実際の計算例

下の例題をもとに存在壁量をチェックしてみましょう。
耐力壁は、45×90の筋交いで片筋交い(倍率2.0)とたすき掛け(倍率4.0)、そして構造用合板(倍率2.5)を使っています。
ただし、構造用合板などは右図のように部分的に使うことは少なく、あくまでも例題としての設定とお考えください。また、実際の図面には色は付いていませんが、ここではわかりやすくするためにX方向にある筋交いは▲(オレンジ)、Y方向の筋交いを▲(グリーン)としています。

  • MEMO 耐力壁の長さ

耐力壁の倍率は前項の表から求め、耐力壁の長さ(cm)は、柱と柱の中心寸法です。 注:ここで言う柱とは幅、奥行きが正形の柱のことですょ。

  • MEMO 耐力壁の併用

上の例題では、それぞれの壁には筋交いや合板が別々に設けられていますが、実際には、ひとつの壁に筋交いと合板を併用した耐力壁も多く見られます。この場合も筋交い、合板の両方を加算して計算することができます。
たとえば、片筋交いの倍率2.0と合板の倍率2.0は、加算して4.5として計算できます。
ただし、併用する場合の倍率の上限は5.0までです。ひとつの壁にたすき掛けの倍率4.0と合板を倍率2.5を設けても、6.5と計算することはできません。この場合の倍率は5.0となります。

STEP-3.存在壁量>必要壁量の確認

STEP-2で存在壁量が計算されると、後はSTEP-1で計算した必要壁量よりも存在壁量が上回っていれば建築基準法上の耐震性はクリアしていることになります。 例題の建物では、右表のような結果となりました。
X方向、Y方向それぞれ、存在壁量が必要壁量を越えていますから、OKですね。

でも・・・

でも、ここまでのチェックは、建築基準法で定められた耐震性が確保されているかどうかのチェックです。これから述べる耐震性のレベル(品確法の耐震等級)ではありません。
耐震性に興味のある方は、少し難しいですが、次のページを読んでみましょう。

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