耐震性って何

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地震国 日本

下の図は、平成8年から14年の間に被害が発生した地震の位置と規模を示していますが、わずか7年の間に被害が発生した地震は38回にのぼり、震度6以上を観測した地震は6回、マグニチュード7.0以上の地震も2回発生しています。
阪神大震災のような被害が無かったのは、震源地が海であったり、山間部などで人が多く住んでいなかったという理由でしかありません。大都市部の近くで大きな地震が発生すれば、阪神大震災同様の大きな被害が発生する可能性は否定しきれません。
常に地震に備える。それは地震国日本の基本的命題です。

阪神大震災の被害

平成7年に起きた阪神・淡路大震災では木造家屋を中心に39万戸の住宅が損傷を受け、全壊家屋も10万棟に達する大きな被害を受けました。

下の図はある地域の1500棟の木造住宅の被害を調査したものですが、古い家屋はもちろんのこと、比較的新しい住宅も被害を受けていることがわかります。

また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造も木造の被害ほど広範囲なものではなかったものの、建物によっては倒壊や大破した建物が存在しています。

特に木造住宅は構造そのものが明確に法規制をされないまま、設計者や建築会社の技術力によって大きな差が生まれ、古い建物から新しい建物まで一様に被害を発生させています。

鉄骨造の被害のほとんどは、鋼材同士の接合部分の溶接の施工不良を原因とするものが多く、鉄筋コンクリート造の場合は、古くても被害を受けていない建物がある反面、新しくても甚大な被害をもたらした建物があります。

その多くは、1階がピロティ形式という1階に壁がない構造が多く、駐車場に利用したいといった土地の有効活用から生まれた計画が、結果として耐震性の弱い部分が生まれ大地震で倒壊する例が非常に多く見られました。

つまり、鉄骨造は、施工上の手抜き工事とする原因が多く、鉄筋コンクリート造は、無理な平面計画のしわ寄せが大地震に対抗できなかった原因となっている場合が顕著な傾向として見られます。

建物と地震

地震は建物にどのように作用するのでしょうか。どんな人でも軽い地震であれば数回以上は経験していますが、地震は上下の揺れはもちろん、左右にも同時に揺れ動き、軽いものほど飛んでしまうのではないかという錯覚をもっていますが、実は地震の強さはその重さに比例して強く働いています。 下の図は3階建ての住宅をそれぞれの構造別に比較したものですが、軽い木造住宅ではわずか14トン程度の地震力が働くのに対し、重い鉄筋コンクリート造の建物では、木造住宅の実に5倍近い地震の力を受けているとされています。

地震はどこで対抗する

では、建物が倒壊してしまわないように地震の力はどこで抵抗するのでしょうか。

下の図は地震に対抗するために考え出された仕組みですが、木造軸組工法や鉄骨プレハブ造の建物はブレース構造という一種の筋交いが地震に対抗する部分になっています。
また、2X4工法や木質パネル工法といった建物は面構造と呼ばれ、建物に面をつくることによって地震に対抗しています。そして、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造のほとんどはラーメン構造と呼ばれる柱と梁の接合部分を強靱にすることによって地震に変形しない構造となっています。

そして、様々な建築物は、この3つの耐震の仕組みを組み合わされて作られています。

阪神大震災は、木造住宅のエポック的地震

上の説明を見ると、阪神大震災だけがクローズアップされていますね。
その後に東日本大震災も熊本地震もあったのですが言及していません。
それはなぜかというと、阪神大震災では都市部の木造住宅に多大な被害が出ました。
しかし、そのおかげで、2000年に木造住宅の耐震設計の全面的な改定が加えられました。
いまは、震度6強程度で住宅が倒壊することはありません。
それもこれも阪神大震災を教訓に改良された耐震のための制度が作られたからなのです。

そして・・
2000年の改定以降、東日本大震災、熊本地震もありましたが、特に大きな改訂は行っていません。
そういうことからも、現代的耐震設計の原点は阪神大震災の被害が全ての原点だったのです。

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