【お断り】このページは、軸組工法2階建ての住宅が対象です。
2つめの熊本地震の特徴は、『筋交い破断』が上げられます。筋交いが多く破断した理由は、繰り返し繰り返し、しかも極度に集中して訪れる波状的地震に対して、『筋交いに粘りが無かった』ためと考えられています。
筋交いは粘りが無い理由とは
耐力壁には『筋交い』と、構造用合板や「ダイライト、ノバポン、モイス、あんしん(商品名)」といった『面材耐力壁』の2つがあります。その違いは、右図のように使われているビスや釘の本数の違いです。
筋交いは柱に止められますが、筋交いの両端の筋交いプレートという金物だけでつけられています。この金物に使うビスの量は一般的に26本(両端合計)です。
構造用合板などの面材耐力壁では、軸組工法の場合150mm間隔で釘を打っていき、その数は階高2.8mの建物では68本にもなります。他のダイライト、ノバポン、モイス、あんしん等では100mm間隔で打つ場合も多いので、釘本数は更に多くなります。
つまり、「筋交いでは、どうしても筋交いの両端に力が集中」してしまうのに対して、「面材耐力壁では力の分散」が出来ますね。この分散と集中の違いが、『波状的地震』という特徴が加わって、『筋交いの破断』になったのだろうと思います。
長いスパンの筋交いはダメ!
熊本地震では、古い家が多く倒壊しました。筋交いも釘だけで留めている家が多かったようです。では、新しい金物を使った建物が大丈夫だったかというとそうでもありませんでした。そして、今回の地震でわかった事は、長いスパンの筋交いはダメなよう~です。
右の図は、筋交いを910mmの柱ごとに筋交いを2本いれたもの(左図)と、1.82mの柱の間に一本だけ入れた筋交い(右図)です。耐震計算上は、実は同じ耐震上の強さを持つものとして計算されています。しかし、熊本地震の事例を見ると、長い筋交い1本で構成された筋交いは、2本で構成されて筋交いの0.8倍程度の強さしかなかったようなのです。
筋交いは筋交いの両端の金物でしか留められていません。そこに集中的に力が加わります。左図の2本筋交いを利用した場合は、4つの金物で取り付き、1本しかない場合は2つの金物でしか付かないのですから、考えればそうですね。
いずれにしても熊本地震の事例を見ると「筋交いの多用はよくない」と思ってしまいますね~。